大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和38(オ)412 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由について。

原審の是認引用する第一審判決の認定したところによれば、被上告人が訴外D所

有に係る不動産につき、根抵当権の設定を受けその登記手続を経由した後、上告人

は同訴外人に対して金員を貸与し、同訴外人において弁済期までにその支払をなさ

ないときは、代物弁済として右不動産の所有権の移転を受ける旨特約して、所有権

移転請求権保全の仮登記をしたが、上告人はその後右特約により代物弁済として該

不動産の所有権を取得したところ、上告人は未だ所有権取得登記手続を経由してな

いというのであり、右認定は挙示の証拠によつて肯認できる。かかる事実関係の下

においては、上告人は本件不動産の所有権を取得したのにかかわらず、その旨の登

記を経由していないのであるから、たとえ被上告人の根抵当権が既に消滅している

にせよ、その所有権に基づき被上告人に対して右根抵当権設定登記の抹消登記手続

を請求しえないものといわなければならない。されば、これと同趣旨に出た原審の

判断は正当であり、何等所論のような違法はない。所論は畢竟、独自の見解に立つ

て、原審の判断を非難するに帰し、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

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裁判官 長 部 謹 吾

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